moviestuffed’s blog

xジェンダーの映画評論:::

あん、河瀨直美、感想。

先日、久しぶりにDVDを借りました。しかもいつもは観ない邦画、題名は「あん」、奈良出身の、河瀨直美が監督を務める映画で、どのような話なのだろうと楽しみに観ました。

 

「あの人、ライじゃないかって」

突然、この言葉で固まってしまった主人公。私は何のことだかさっぱり分からなくて、すぐに調べました。ライとはハンセン病、極めて感染率の低い病だが感染すると最悪の場合、手や足がもげてしまう病気のことでした。

そこから、映画はハンセン病患者の社会的な地位を考えさせられる展開になっていき、ハンセン病を患った人々がこれまで受けてきた不当な扱いや、社会から差別されてきた彼らの心の内が映されていました。

 

私は今まで、ハンセン病という言葉すら知りませんでした。

この映画を観た後、ハンセン病患者の多くは70~80歳の今、あと20年も経たないうちに彼らとともに、政府が行っていた彼らへの隔離政策も忘れられて行ってしまうのではないかと思いました。彼らの多くは、政策によって人権を侵害され、子どものころから隔離され、人間でいいるという概念さえ保証されてこなかったのです。そんな人たちがいなくなってしまっている今、それを私たちが忘れてしまっては、私たちは同じ過ちを繰り返して、悲しいことに、再び社会から切り離される人たちがでてきてしまうのです。現代ではハンセン病への治療もできているのもあって、そのような人たちは数を少なくしていますが、それと同時に認知度も落ちてきてしまっています。私もその一人でした。

 

今回のこの映画「あん」の公開で、多くの人々にハンセン病患者への認知と理解をさせたのではないかと私は思います。